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東方葉恋譚 ~ Ancient Love Letters

夏の湿り気を帯びる夜の幻想郷。

 博麗神社の暇人巫女、霊夢は閑古鳥の鳴く神社の縁側で一人夜明けを待っていた。

 

「...こんなにドキドキしてちゃ眠れないじゃない」 

 

彼女は最近ある悩みを抱えていた。妙に胸が苦しいのである。 病気の類ではない。

しかし魔理沙や紫など、いつも顔を合わせる面々のことを考えたりすると、どうしてか胸がときめくのだ。

 

 「…いやいや、ありえないわ。私にそんな趣味はないし」

 

 幼い頃から神社の巫女として過ごし浮ついた話の無い霊夢には新鮮な感覚だった。

 

 

 ・・・時を同じくして、魔理沙と早苗はそれぞれの自室で悶えていた。

 

 「………香霖に会いに行くか」

 「どうしましょう諏訪子様、私何故かドキドキが止まらないんですけど!」

 

 彼女達もまた、霊夢と同じ症状だった。

 翌朝落ち合った三人は、人里を見て驚愕した。

 異様に、恋仲の男女の数が多い。それも皆ラブラブだ。

 

 「・・・異変ね」

 「異変だな」

「異変ですね」 

 

お互い熱情を抑えながらも、"身近な人への想いが著しく強くなっている"という異常に甘ったるい原因不明の異変を解決すべくそれぞれ捜索に向かった。

 

3人がまだ異変に気づいていなかった頃、幻想郷を暗躍する少女の姿があった。 「...______のためなら、全ての罪を背負ってでも私は_____」

 幻想郷の人妖達に、夏が来る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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